よくある質問
Q : 検体を環境動物フォーラムに送ってからなかなか検査結果の連絡がないのですが、どうしたのですか?
A : 検査は原則として週に1度行います。検体が土曜日までに届けば翌週の金曜日には結果の連絡が
できますが、週のはじめにとどきますと、検査を行うのは翌週となり、結果連絡は翌週の金曜日になります。
したがって、検体を発送された日から数えますと10日以上かかる場合もあります。
検査日程
月曜日 : 先週末までに到着したサンプルに70度で12時間の熱をかける。
火曜日 : 糞便上清の作成と虫卵検査の準備。
水曜日 : 抗原検査(ELISA)と虫卵の検査(顕微鏡)
木曜日 : 予備日
金曜日 : Faxによる結果連絡
従いまして、月曜日のサンプルの熱処理の段階を過ぎた後にサンプルが到着しますと翌週の検査に回りま
すので長くかかってしまいます。
Q : 検査結果が陽性や擬陽性のとき、なぜ再検査が必要なのですか?
A : 2つの場合があります。
診断を確定させるために必要な場合。
抗原陽性で虫卵陰性のとき、現在のところエキノコックス由来以外の抗原に非特異的に反応している
可能性を否定できません。現行の抗原検出ELISAシステムは非常に高い特異性を持ちますが、
僅かながら交差反応も見つかっており、現在確認されていない未知の抗原に反応する可能性もあります。
従いまして、駆虫と駆虫前後の糞便を検査し抗原価の変化の度合いで判断しています。
抗原陽性で虫卵陽性のとき、テニア科虫卵が確認されているときはエキノコックス症感染の可能性は
非常に高いのですが、テニア科条虫卵は形態的に区別できませんので、やはり上と同じく抗原価の変化の
度合いによって判断します。
駆虫を確認するために必要な場合。
糞便からエキノコックスの虫体が確認されたり、虫卵のDNA検査により感染が確定した場合は
エキノコックス症と判断します。速やかな駆虫をお勧めしているので、その駆虫の確認のために抗原価の
変化をみる必要があります。
以上の理由により再検査をお願いしておりますが、再検査まで含めてエキノコックス検査が完結しま
すので、再検査の費用はいただいておりません。
Q : エキノコックス症検査の診断はどのようにするのですか?
A : いくつかの場合があります。
*糞便の中にエキノコックスの虫体が確認されたとき
→ エキノコックス症である
*糞便の中のテニア科虫卵からDNAがとれて確認されたとき
→ エキノコックス症である
*抗原陽性で駆虫薬投与を含む再検査の結果エキノコックス抗原価の明白な低下が認められたとき
→ エキノコックス症である (ただし、上の2つの場合ほどは確定的ではない)
*抗原陽性で駆虫薬投与を含む再検査の結果エキノコックス抗原価の明白な低下が認められないたとき
→ エキノコックス症ではない (ただし、エキノコックス症であったことは完全には否定できない)
*抗原陰性のとき、
→ エキノコックス症ではない (テニア科虫卵の有無にかかわらず)
Q : 再検査の結果エキノコックス症ではないと診断されたが、どのような理由が考えられますか?
A : いくつかの場合が考えられます。
非特異反応が起こった可能性があります。
豆状条虫などと若干の交差反応を起こすことが分かっています。
少数感染していた可能性。
虫卵が確認されたが、抗原が陽性でない場合
他の条虫(猫条虫など)に感染している、あるいは他の動物の糞を食べた可能性。
Q : 擬陽性で再検査を勧められたが応じるべきですか?
A : エキノコックスの感染初期には十分な抗原が排出されず、抗原検査が擬陽性になります。放置すると
抗原反応は陽性となり、1ヶ月もたたないうちに虫卵排出が起こります。また少数感染時は十分な抗原を
排出していません。もちろん、非特異反応を示している可能性がありますが、”念のため”に駆虫を含む
再検査を行うべきだと考えています。
抗原検査が陽性・擬陽性のときエキノコックス症であった場合の危険性を考えて駆虫を含む再検査は
”念のため”だとしても十分な理由があると考えられます。ぜひ、再検査してください。
Q : 犬や猫はどのようにして感染するのですか?
A : エキノコックスに感染しているネズミを食べたときに感染します。野山で犬を放したときなど、ネズミを
捕まえて食べてしまう可能性があります。また、自分でネズミを捕まえなくても同居している猫がネズミを
咥えてくることがあります。
Q : うちの犬は他の犬の糞を食べたりするのですが、エキノコックスに感染しませんか?
A : 犬や猫がエキノコックスの卵を含む糞便を食べても感染しません。